加齢や頭部打撲などで認知症になる人が多いとされており、「女性の方が認知症になりやすい」と言っている研究機関もあるようですね。“頭部打撲”に関しては意識を失うほどの打撲であるとリスクが高まり糖尿病も発症の可能性を高めると言われています。では、どのような症状が見られるのでしょうか?初期・中期・後期に分けて見ていきます。
初期症状
- ①何度も同じことを言う(数分の間隔で同じ話に戻る)
- ②直前のことを忘れる(近時の出来事がすっぽり失われる)
- ③物とられ妄想がある(自分で片づけるも場所が分からなくなり身近な人を疑う)
- ⑤趣味、日課への無関心(興味を持っていたことや日課に関心がなくなる)
- ⑥作話をする(物忘れによる失敗を取り繕うため作り話をする)
初期段階の特徴は進行性の記憶障害で、身近な人でなければ気づきにくく少しずつ症状が進行していきます。見当識障害(時間、人、場所などが分からなくなること)は、「時間」「場所」「人」の順に分からなくなる傾向があるので、身近にいる人たちは注意深く観察しましょう。
中期症状
- ①見当識障害がある(場所、時間など分からなくなり季節感も失われる)
- ②徘徊・妄想が増える(目的なく歩き外出し夜間に妄想がみられる)
- ③家事の手順が分からなくなる(買い物、料理の段取りができなくなる)
- ④失語がある(言葉の意味が分からなくなり意味のある言葉が話せなくなる)
- ⑤日常生活に介助が必要となる(食事、入浴、着替えが自分でできなくなる)
- ⑥不潔行為がある(失禁など非衛生的になり社会的に脱抑制行動がみられる)
などの、行動・心理症状が特徴です。認知症介護の中で最も大変な時期。身体機能に問題がなくても徘徊などの行動・心理症状が強く出ます。
後期症状
- ①家族の顔が分からない
- ②表情が乏しくなる(表情が失われ反応がなくなる)
- ③会話が全くできない(コミュニケーション能力が失われ意思疎通ができなくなる)
- ④尿、便の失禁が常態化(尿意、便意を訴えられなくなり放尿などが起こる)
- ⑤寝たきりになる(歩行、座位も保てなくなるため)
後期は寝たきりに移行する時期となり、以上のような症状がみられます。
初期症状の説明でも話しましたが、何度も同じことを言ったり、ご飯を食べたのに忘れたり、物がなくなったりなどの症状がよく聞かれると思います。では、そのようなときはどのような声かけや接し方をすれば良いのでしょうか?
さっきご飯を食べたのに食べていないと言われたら…?「さっき食べたのに!」と思っても「今、作っているから待ってくださいね」などと、否定しないように声をかけてあげましょう。なぜなら認知症は「覚えられなくなる病気」だからです。
特に、アルツハイマー型認知症の方の物忘れは、出来事があったこと自体を忘れる傾向があります。正しく理解したうえで関わることが重要です。
症状の背景を考えてあげましょう “一緒に”がポイントです。
当然ですが、家族で認知症介護をするのは大変です。同じことを何度も言われたり、何もしていないのに「財布を盗んだだろう」と怒鳴られたり、イライラすることも多いと思います。
しかし、まずは否定することなくその訴えに耳を傾けてください。そして、訴えの内容が応じられるようなら応じてください。なぜなら、何度も同じことを言うのは自分が言ったことが通じてないと思っているからです。決して否定せずに受け止め、あなたの話を本気で聞いていますよという態度が大切です。
また、物がないと探すのは喪失感や不安感が背景にあることが多く、歳をとると連れ合いを亡くしたり、仕事を失い人生で培ったものが失われたり、漠然とした“死”への不安を招きます。
人は不安に駆られると何度も何度も確認をしてしまい、あるはずのないものを探そうとするのです。認知症の方が何かを探しているときは一緒に探してあげましょう。もし、見つかったら心から一緒に喜んでください。
家族が認知症になることで、大事なものを失ったと感じることがあるかもしれません。しかし、私は認知症介護から得られるものも多いと思っています。少ない記憶の中から、若かった頃の思い出を話してくれたり、息子・娘(孫)の自慢をしてくれたり、人としての暖かさを感じることも多いのです。
イライラすることもあるかもしれませんが、最期の時間を少しでも有意義に過ごしてもらいたいと願っています。
参考・引用:みんなの介護