基本報酬の増額求める 介護17団体が要望書

2027年度の介護報酬改定に向け、介護関係の17団体は6日、木原稔官房長官に基本報酬の引き上げなどを求める要望書を提出した。介護現場は深刻な人材不足に加え、物価や光熱費の高騰などで極めて厳しい状況に直面していると強調。介護サービスの安定的な提供にも影響が生じかねないと訴えている。

 要望したのは全国社会福祉法人経営者協議会や全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会、全国介護事業者連盟、日本介護福祉士会など17団体。各団体の代表らは田村憲久自民党衆院議員と共に、衆議院第一議員会館の会議室で木原官房長官と面会し、要望書を手渡した。

 要望書は、介護サービスを継続的に提供できる経営基盤を確保するため、基本報酬の十分な引き上げや、介護従事者の賃金改善、人材確保に必要な支援を求めた。物価上昇によるコスト増を適切に反映するため、物価動向を踏まえた毎年の対応も要請した。

 提出後、取材に応じた全老健の東憲太郎会長は「訪問介護がない地域が200市町村くらいあるのが現状。すでにあちこちで介護崩壊が起きている」と危機感を募らせた。木原官房長官から介護報酬の引き上げに向けた具体的な言及はなかったものの、介護現場の現状をよく理解している様子だったという。

介護職の賃上げ3.93% 17団体が共同調査

 介護関係の17団体が9月に実施した経営状況調査で、介護事業所職員の平均賃上げ率は3・93%だったことが明らかになった。春闘による全産業平均を下回っていた。調査は介護関係17団体の会員を対象に実施し、8219事業所が回答した。 内訳は、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)2154カ所▽特別養護老人ホーム1328カ所▽通所介護1039カ所▽介護老人保健施設922カ所―などとなっている。

 9月時点の介護事業所職員の賃上げ額は月額1万114円で、そのうちベースアップ(ベア)分は6369円だった。平均賃上げ率は3・93%で、今年の春闘による正社員の賃上げ率5・01%とは1・08ポイントの開きがあった。

 ベア分を含めた職種別の賃上げ額は、介護職1万135円▽看護職8776円▽ケアマネジャー8622円▽生活相談員9300円▽事務職8643円――だった。

 事業所の経営状況については、黒字が44%、赤字が56%で半数を超えた。特に在宅系サービスよりも施設系の方が赤字割合が高かった。

 また、2025年度補正予算や26年度の臨時報酬改定による支援で、継続的な物価上昇分をカバーできていると回答したのは10%にとどまった。

 さらに、27年度の介護報酬改定で基本報酬が引き上げられなかった場合の見通しを聞くと「ほかの事業からの補填」「借り入れがなければ3年耐えられない」が58%に上った。「1~2年以内に事業を縮小する」が11%、「1~2年以内に廃業・撤退などを検討する」は4%だった。

特養・老健の基本報酬「異次元の増額を」 審議会で有力団体から要請相次ぐ 来年度改定(【Joint編集部】引用参照)

厚生労働省は9日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を進めている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)を開催し、特別養護老人ホームや介護老人保健施設を取り上げた。

共通の論点として、「安定的にサービスを提供するための方策」を提示。現場の関係者からは、現下の厳しい経営環境を踏まえて基本報酬の引き上げなどを求める声が続出した。


「物価高騰などで施設の運営コストは増大する一方だ。地域のインフラとしての役割を果たしていくためには、基本報酬の大幅な底上げが必要不可欠」


全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長はこう訴えた。


厚労省の昨年度の調査結果で利益率をみると、特養は1.4%、老健は0.6%。

全サービスでは、平均の4.7%を大幅に下回っている。


全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、こうした実態を踏まえ「基本報酬の大幅な引き上げが必須」と主張。日本医師会の江澤和彦常任理事も、「多くの施設が赤字経営となっている。

基本報酬の異次元の増額が不可欠」と強調した。

会合ではこのほか、自治体の立場を代表する委員からも特養や老健の経営的な支援を要請する意見が相次いだ。また、現場の生産性向上のさらなる推進などとあわせて、メリハリのある施策を検討すべきと促す委員もいた。

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